2019年08月28日

榊山へ 日本で海岸線から一番遠い地点

2019年(令和元年)8月27日(火)

榊山へ 日本で海岸線から一番遠い地点




日本で海岸線から一番遠い地点


8月の後半は天気が悪く、からっと晴れる日がほとんどない。
明日からも数日天気が悪くなるとの予報があり
曇りがちだが雨は夕刻からという今日を逃さないように山へ。

「信州ふるさと120山」の完登へ残すところ4座となり、
旧臼田町の榊山、そして北相木村の四方原山をできれば同時に登ろうと
出かけた。


臼田の町から田口峠方面へ向かう。
臼田駅には「日本で海岸線から一番遠い地点」への案内表示があり、
それに従って走る。
榊山はその地点を通過して登る山だ。

雨川砂防ダム湖先に登山口がある。
ゲートの先、林道をしばらく進む。
林道の終点からは、沢にかかる丸太橋を渡り沢沿いの登山道、沢のなかを進む
「日本で海岸線から一番遠い地点」まではあと1kmだ。

小さな美しいセンガ沢の渓谷を遡っていく。
時々沢を濡れることはないが徒渉する。
足下から時々見上げるとV字谷の緑は濃く冷気に包まれていた。



「後100m」の表示が出てくると沢を離れ傾斜ある道を登り上げる。
そこが「日本で海岸線から一番遠い地点」となる。
発見時の様子、標柱そして「1級公共基準点」なる
「日本で海岸線から一番遠い地点」を示すポイントが記されている。


国土地理院が1996年に発見したとあり、
海岸線から約115km離れた地点にあるということだ。
新たに発見された「日本のへそ」ともいわれているという。

その地点から、今日の目的地榊山へ1kmほどさらに登る
少し登ると尾根に出る。
そこに初めて「榊山」の表示が出てきた。
「日本で海岸線から一番遠い地点」表示の多さに比べ
「榊山」の表示はあと一つ山頂にあっただけだ。



広く歩きやすい尾根伝いに行く。
踏み跡が薄いのでどこを歩いても良いのだがマークが付けられていたので
見落とさないように進んでいく。
時々起伏があり、曲がるところもあるので気をつける。
山頂までの途中に「左の耳」と呼ばれる小山のポイントがある。

少し細めの尾根に入ると山頂は間近だ。
樹林帯のなか展望はないが三角点のある山頂へとたどり着く。
「日本で海岸線から一番遠い地点」近くの山頂だけに、
榊山は「日本で海岸線から一番遠い山頂」といっても良いのではないか。

榊山1258m山頂 三角点に弐七農園のつがる



もう一つ目的にしていた四方原山は次回の楽しみに残した。
榊山は
美しいセンガ沢の登り下り、そしてふわふわして歩きやすい尾根道
そしてなんといっても「日本で海岸線から一番遠い地点」をもつ
特別感に満たされるところだった。


ふるちゃん   


Posted by ふるちゃん at 20:00Comments(0)三百名山以外・里山

2019年08月25日

高社山・高標山へ 夜間瀬温泉スキー場・カヤノ平より

2019年(平成21年)8月24日(土)

高社山・高標山へ



夜間瀬から高社山


40年近く前、高社山には登っている。
どこから登ったか調べると志賀高原ゴルフ場とあった。
現在もかなり標高の高いところまで車で行けるのだが
登山用にゴルフ場の駐車場を利用するのは気が引ける。

一般的に夜間瀬温泉スキー場のリフト乗り場から登り始める
登っている途中ゴルフ場の駐車場がゲレンデから見える。
登りで30分ほどは短縮できそうだ。
駐車場を横目にひたすらゲレンデを登る。
振り返ると志賀高原方面の岩菅山や笠ヶ岳がうっすら雲がかかるが見えていた。高度は一気に上がってきている。

途中一カ所分かりにくいところがあったが、
右手に見えるリフト下に登山道はしっかりとあり、リフト最上部へと登る。
中野、山ノ内の街並みが手に取るように見渡せた。



ここからは登山道に入る。
笹が生い茂り歩きにくさはあるが展望の良い一枚岩を越え
あっという間に山頂へと出る。
中野方面は展望が開けたが、北側には雲がかかり眺望はなかった。

高社山1352m山頂


中野市のシンボル「たかやしろ」
越年登山が毎年行われて、今も続いていると思う。
市民の山だけあって下山中には何人かの方とすれ違った。

登山道が山頂に向かい3コースあり、
夜間瀬温泉スキー場からのコースの他に中野市赤岩からのコースがある。
そうして木島平方面からのコースもあるようだ。
展望が良い日にまた登ってみたい山だ。

次に木島平のカヤノ平に向かった。
木島平村から舗装された林道に入り13km先のカヤノ平に着く。
整備されたキャンプ場だ。



その先にゲートのある高標山の登山口
林道を歩き、登山道へと入る。
ブナとダケカンバの森を進んでいく。

道は笹に覆われているところが多く藪漕ぎ状態に苦戦するところもある。
その中偶然だが笹狩りをする森林組合の方がいらした。
人手不足ということでなかなか高標山には手が回らないとのことのようでお一人で作業されていた。
ありがたいことだ。

尾根に出ると初めての展望があり、志賀高原方面が見渡せた。
後はしばらく登ると、立派な石の祠のある山頂に出る。
山頂からは先ほど登った高社山が眼下に見られた。
標高差は400m程ある。
登山口のあるキャンプ場の標高がすでに高社山の標高とほぼ同じだ。

北側は雲がかかり展望はなかったが、
志賀高原側はなだらかな竜王山、北志賀、焼額山そして岩菅山が見られた。


高標山1747m山頂


山頂には先行された一人の方がいた。
このマイナーな山へどうして来たのかと問われた。
「信州ふるさと120山」木島平村の山ということで紹介されているからだ。
登山道の表示には「KOHYOUSAN」とあるが
「たかっぴょう」と地元では呼ばれていると話してくれた。


ふるちゃん   


Posted by ふるちゃん at 22:39Comments(0)

2019年08月19日

志賀高原へ 笠ヶ岳、志賀山・鉢山・横手山縦走

2019年(令和元年)8月17日(土)

志賀高原へ 笠ヶ岳、志賀山・鉢山・横手山縦走



四十八池から志賀山


私の「山へ スキーへ」の原点、志賀高原へ。
ことに歩く楽しさを知った池巡りコースへはほぼ40年ぶりだ

当時は休みというと日曜日だけだったが、
志賀高原の様々なコースを巡るのに一つ一つ時間をかけ回った覚えがある。
笠ヶ岳は志賀高原のシンボルだと笠ヶ岳のみ登った。
さらに志賀山も四十八池近辺をゆっくり花を撮影し歩いた覚えがある。
横手山、熊ノ湯というとスキーが主になり、1本滑って顔が凍りそうになるほど痛み、山荘に飛び込んだ強烈な思い出がよみがえる。

今回は一気に、4つのピークを巡る計画を立てた。
まずは、笠ヶ岳だ。
笠峠までだと須坂方面から山田牧場経由で行ってもさほど時間に変わりがない。
車も少なく、爽やかな笠峠に到着。
早速登り始める。階段が整備されあっという間に高度を上げる。
ただ最後は、急な岩場がありそこを慎重に登り切ると
大きな溶岩がどんと座る山頂へと飛び出る。

笠ヶ岳2076m山頂 横手山が見える


目の前には横手山が聳え、遠くに四阿山、浅間山なども見ることができた。また笠ヶ岳の展望よろしい御飯山が小さなピーク老ノ倉山と並び
きれいに見えたのが印象的だった。

静かな笠ヶ岳を後に、次は熊ノ湯・硯川から志賀山を登り、鉢山経由で横手山を目指す。
ここは自転車を利用。
渋峠に自転車をデポして帰りは車道を自転車で一気に下る作戦だ。

にぎわう渋峠の標示柱に自転車をくくりつけ熊ノ湯へ戻る。
硯川からは池巡りコースへの登山口から歩き始めた。
少し登ると雲がかり始める笠ヶ岳が見られた。

多くの方はリフトで上り渋池など目指し、志賀山への分岐では四十八池方面と行くので、ほぼ人に会うこともなく志賀山へ登った。
若かりし頃登った記憶は全くなく、思った以上に急登であることに驚き何とか山頂へとたどり着くことができた。

渋池から横手山


これから先の横手山はまだ遙か遠くに見え、少し不安さえ覚えた。
志賀山山頂を下り始めると分岐点があり上部から女の子が颯爽と下ってきた。なぜ下ってきたかもそのときは考えずに道を譲り四十八池へと下った。実は志賀山の神社があったのだ。後で気づき飛ばしてきてしまったことに悔やまれるのだ。

志賀山2036mから横手山


四十八池は志賀山と鉢山とに挟まれた高層湿原
今回花は少なかったが美しい池塘が見られた。
水草の葉を浮かばせた黒褐色の池が、今登ってきた志賀山によく似合っていた。

四十八池から鉢山方面へ登る。
かなり山道はぬかるみ、ズボッとはまらないように注意して登る。
鉢山の山頂は眺望はないが小さな噴火口の縁にある。

四十八池から鉢山


鉢山をぐっと下ると草津峠の表示が出てくる。
昔渋峠に代わり頻繁に使われていた峠というが、今は笹藪に覆われてしまい面影は全くないといっても良い。

この草津峠を越えると目の前には横手山が一気に近づき、さらに進むと
横手山のスキーゲレンデへと飛び出す。
あとは急なゲレンデを徐々に登ると横手山へと出る。
このゲレンデ、スキーで滑るときにはさほど急ではなく面白いゲレンデなのに、登となるとかなりの急なゲレンデに変身しているようだ。

横手山へと登り切るとそこは観光地。
群馬県側、長野県側からリフトで登ってきた人でにぎわっていた。
ことにパンを求める人だろうか日本一高いところにあるというパン屋さんには人の行列ができていた。
私もと思ったが着飾った人に気が引けてしまった。

横手山 日本一高いところにあるパン屋さん


山頂はどこか?
渋峠側からのリフト降り場には群馬百名山、横手山の表示を見つけることができた。そして地図で確認すると、志賀神社の鳥居の先に三角点があり
山頂ということが分かり進んでみた。
鳥居から234歩先に神社があるとの表示も見られた。

わずかばかりの距離だが、ここまで来る人も少なく静かな横手山山頂へ出た。志賀神社の祠、横手山の表示、そして三角点がある。
そして何よりも目の前に白根山の赤茶けたそして硫黄の白さも混じった異様な山肌の山容が目に飛び込んできた

横手山2305m山頂 白根山の山肌が見られる


静かな今日最後の山頂でゆっくりし、渋峠へと下った。
リフト沿いに下るのだが、リフトのスピードが遅く歩いて下る方が速く
気持ちよく渋峠のスキー場ゲレンデを後にした。

渋峠には群馬県と長野県の境にあるホテルがあり、
群馬県側は喫茶、長野県側には食堂が併設されていた。
食堂のカツカレーが有名ということで期待したが、すでに食事時間は終了ということで残念、自転車に乗り下山開始した。

渋峠に自転車が待っていた 長野群馬にまたがるホテル


気持ちよい下りで、最初に登った笠ヶ岳も目の前に見られ、


あっという間に登り始めた熊ノ湯へ無事下山できた。
志賀高原を歩く、ほぼ40年ぶりだったが行程の99%は静かで変わったところはなかった。


ふるちゃん   


Posted by ふるちゃん at 22:19Comments(0)三百名山

2019年08月13日

大雪山・旭岳へ 中岳温泉、お花畑巡り

2019年(令和元年)8月7日(水)

大雪山・旭岳へ 中岳温泉、お花畑巡り



夫婦池からの旭岳


35年ほど前に職場の4人で大雪山を訪れた以来になる
そのときは羅臼岳に登り、各地を車で移動し、
野宿、キャンプなどしながら旭岳へ往復で登っている。
その日は曇っていたので熊ヶ岳、中岳温泉コースは諦めたともある。

当時の記録で山頂まで次のように記されていた。
「姿見駅から姿見の池までは、ハイ松そして花畑(チングルマ)が我々を迎えてくれる。姿見の池から山頂へは一本道、単調な道である。岩と砂だけの山であり、まだ新しい山であることを示している。歩いていて気づいたことは、土の色が登るとともに変化することだ。黄色、赤茶、赤そして紫っぽい色と変わっていくのだった。谷からは噴煙の音であろうか、ザァーッというような音が聞こえていた。」
雲がかかり下を向いて歩いていたのだろう。岩石に目がいき、聞こえるのは噴煙の音だけだったのだろう。

今日は晴れて見通しも良く、静かに噴煙が上がり、
地獄谷の岩肌に目がいき荒荒しい旭岳の姿をじっくり見ることができた。
振り返るとすそ野の雄大な眺望を楽しむこともできた。

金庫岩から地獄谷



北海道最高峰、旭岳に二度目の登頂。
山頂からはもこもこと連なる山々が印象的だ。
それらの山を特定することはできなかったが、黒岳はじめ大雪の山並みを堪能した。
これから進む、熊ヶ岳・間宮岳方面も見えた。

旭岳2291m山頂


前回計画し断念した周回コースへと下り始めた。
火山灰で滑る急坂、雪渓も出てくる。
しかし振り返ると旭岳は登ってきたときの荒々しさから一変して
なだらかで優しい顔をした山容へと変わっていた。

旭岳の表情が変わる


熊ヶ岳の岩山をトラバースするように間宮岳への分岐へと出る。
その間宮岳は分岐からしばらくいったところにある。
平坦で見晴らしも良く気持ちよい山頂だ。

間宮岳2185m山頂


この先の中岳方面への下りで見るカルデラ
広く硫黄の白さで模様が描かれたお鉢平に目を奪われた。
大雪山・黒岳・凌雲岳などを形成するカルデラは、
今もなお火山ガスが噴出し続け躍動する大自然の営みを感じる。

お鉢平と黒岳方面


中岳分岐から気持ちよい下りを行く。
その先の渓谷に中岳温泉が湧く。
石が組まれただけの素朴な温泉だが、すでに何人かが足湯を楽しんでいた。

もちろんすぐに登山靴を脱ぎ足湯へと入る。
湯口付近は熱く入れられないが、水も混ざり快適な湯温になるところでは
ちょうど膝ぐらいまでの深さで疲れた足を癒やすことができた。
またそこにキタキツネがのんびりとお出ましするというおまけもついた。

中岳温泉 その先にキタキツネ


中岳温泉を後にし谷間を出ると
一気に目の前が開け、旭岳の麓にお花畑が広がった。
チングルマの綿毛がそれは絨毯を敷き詰めたごとく見られた。
時期が早ければ真っ白な世界が見られたと思う。
他の花々も旭岳を背景に咲き誇るようだった。

お花畑 イブキトラノウと比布岳など


そんな花畑を楽しんでいる内に優しい顔をしていた旭岳が
再び険しい表情を見せ始める。

そして夫婦池には噴煙を上げる逆さ旭岳を見ることができた。

ぐるっと一周
旭岳を登り、旭岳の裏側から旭岳の違う表情を見て
温泉につかり、お花畑の中を歩くという贅沢なコースだった。

カムイエクウチカウシ山、ニセイカウシュッペ山と登り
北海道にある三百名山を完登し、
最後のまとめとして大雪山・旭岳に再び登ることができた。

ふるちゃん   


Posted by ふるちゃん at 22:00Comments(0)三百名山

2019年08月12日

ニセイカウシュッペ山へ 北海道にある三百名山完登

2019年(令和元年)8月6日(火)

ニセイカウシュッペ山へ 北海道にある三百名山完登

「大槍持つ ニセイカウシュッペ 最後の北海道」




ニセイカウシュッペ山1883m山頂 大槍が顔を出す


北海道にある三百名山、最後の山になった。
北海道には26座の三百名山がある。
ニセイカウシュッペ山がその最終章を飾ることになった。

5年連続で北海道を訪れようやく完登することができた。
利尻岳、羅臼岳、駒ヶ岳はこの5年間の前に登っていたのだが
そのほかの山々はこの5年間で登ることができた。
本来は昨年の内に登り、終わらせようとしたのだが、
登山道、林道の崩壊などによりカムイエクウチカウシ山と
このニセイカウシュッペ山が残ってしまっていた。

今回、カムイエクウチカウシ山へ8月3日、4日で登り、
今日6日、最後のニセイカウシュッペ山
となった。
最後の三百名山、北海道の山となるかもしれないだけに感慨深い。

林道が開通し、気軽に登れる山だろうと気が抜けていたのか、
登山口への林道を見つけるのに時間がかかり
本来よりも1時間以上出発が遅れてしまった。

登山道へ入ると比較的平坦な登りやすい登山道が続く。
途中、登山道の整備をしてくださる方もいて気持ちよい歩きができた。
正に歩く幸せを感じる。

左手に山頂らしき山並みと、話に聞くゴツゴツとした稜線が見られた。
右手方向には霞んでしまっていたが大雪山の大きな峰が広がっていた。

大槍



ゴツゴツとした稜線は、
近づくにつれ迫力があり、天を突くような槍の姿を見せた。
大槍と呼ばれるニセイカウシュッペ山の登山道脇に聳える峰だ。

この大槍の麓を過ぎると、正面に大きくゆったりとした
ニセイカウシュッペ山の山頂が近づく。
大槍とは対照的な高原上の山だ。

左 ニセイカウシュッペ山



最後ハイ松の登山道を登り切ると広い山頂へと出た。
360度の大展望が広がる。
これで北海道にある三百名山完登だ。

時間をかけようやく登り切ることができた北海道の三百名山。
地理的にも遠く、登るにも厳しく時間のかかる山が多い。
それだけにニセイカウシュッペ山の頂に着くことは嬉しく満足感が湧いてきた。
言葉には言い表せないが一つの目標に大きな光が差した感じだ。
あと本州に残る49座、三百名山完登へと近づいた。

下山を始めると目の前の大槍が気になった
下山方向と大槍への分岐に出た。
大槍方面にもしっかりと登山道が続いている。
そこで大槍方面へ踏み入った。

細尾根が続き注意は必要だが大槍のてっぺんへたどり着くことができた。
一人がちょうど立てるほどのてっぺん。
そこはふわふわし、揺れるのだ。まるで雲の上に立っているかのように。
たぶんハイ松の上に立っているのではないかと思われた。


大槍から雄大なニセイカウシュッペ山


てっぺんに立つのは怖くてあまり良い気持ちではないが、
そこから眺めるニセイカウシュッペ山は、
北海道の山を締めくくるのにふさわしい
標高は低いが雄大な姿を見せていた。

ふるちゃん
  


Posted by ふるちゃん at 21:52Comments(0)三百名山

2019年08月09日

カムイエクウチカウシ山へ 感謝!念願叶う

2019年8月3日(土)~4日(日)

カムイエクウチカウシ山へ 感謝!念願叶う

「3年越し 河原徒渉 カムエク遠し」



コルから見るカムイエクウチカウシ山


三百名山を目指す中で最難関といってもいいカムエク
北海道にある三百名山を意識して登り始めて5年目。
5年連続で北海道に足を運んでいる。
カムエクは登る決心がつかない山で、ずるずると先延ばしをしてきた。

登ろうと決心したのは2年前。
2年前は、札内川ヒュッテ前まで来たが、山岳センターで雪渓が多く危険との情報を得て、
さらに登っている人もいないようだったので断念する。
昨年は大雨のためにヒュッテ付近は土砂崩れでかなりのアルバイトが必要ということで、登山道も心配で当初からあきらめた。

ということで3回目のカムエクへの計画になる。
今回はカムエクとやはり昨年林道が閉鎖されていたニセイカウシュッペ山を登れば北海道の三百名山が完登できるというのもあった。

調べると今年はカムエクもニセイカウシュッペ山も状況は良く
多くの方が登られていることを知った。
雪渓がないというのも朗報で条件が良い。
是が非でも登らせてもらいたいと準備を進めた。
軽量のテント、寝袋、マット、コンロ
そして折りたたみ式の自転車も借りるよりも買ってしまえと用意した。

札内川ヒュッテ前を自転車でスタート



靴はどうするか。
多くの人が利用する沢靴は必要だろうか。登山靴と沢靴を持って行くのは抵抗があった。
そこで濡れてもさほど重くならないだろうとローカットの登山靴一足で沢も登坂も行こうと決めた。
これは大正解だった。
徒渉も何回もあったが問題ないし、ごろごろ石の河原歩きも靴底が厚いために安定した。
さらに三股からの登りには登山靴の方が断然有効だと思えた。
カールから山頂へも当然登山靴が安全だ。

準備万端
札内川ヒュッテ前のゲートを出発する。
そこで出会ったのが福島県の池さんだった。
(名前省略してごめん)
今回のカムエクの山行が事なく成功したのもこの出合があったからだと思っている。

先行した池さんはどこかで待っていてくれるとのことで、
少し遅れて新調した自転車に乗って七ノ沢へ向け林道を進んだ
真っ暗なトンネルを過ぎるとダートとなった。
しかし比較的平坦で自転車に乗ったまま距離を稼ぐことができた。
それでも登ってはいるので数回自転車を押すことにはなった。
といっても杖代わりとなり七ノ沢へ難なく着くことができた。
歩くとなると7kmほど、2時間は要するところを1時間弱で行けるので
自転車の威力は相当なものだ。
そのため七ノ沢出合にはすでに何台もの自転車が止められていた。
ということはかなりの人が登っていることが明らかで少し安心感が出た。

そこへ私も進もうとしていた道の方から池さんが下ってきた
こちらじゃない、橋に出てしまったというのだ。
そこで二人で河原に出てまずは徒渉するとの情報から膝ぐらいある水深を渡ることにした。
渡りきったが広い河原、どちらへ行くのか迷う。
全く印がないので不安に駆られてしまった。

それでも心強かったのが池さんがいることだった。
二人でも進む方向が決められないということで、一人だったら引き返したくなるくらいの不安に襲われた。
正直このまま進む方向が分からなければ引き返してしまったかもしれないほどだ。

それでも上流方向へ少しでも進もうとさらに徒渉して上流へと歩みを進めた。
するとテープ発見。
小さなテープだが方向が間違っていないと分かると勇気が出るものだ。
あとはふたりで目印を見つけながら河原、徒渉、巻き道と徐々にルートファインディングもスムーズになり八ノ沢出合へ近づいた。

八ノ沢出合付近を先行する神奈川の二人


少し手前で神奈川からの男女お二人に出会った
同じく八ノ沢出合でテントを張り明日アタックするとのことだ。
今回で3回目の挑戦とのことで三股までは行ったことがあるという。
雪渓で引き返したということで今回はその雪渓がないので期待が持てる。

八ノ沢出合のキャンプサイトにはすでに2張りのテントが張られていた。
4時過ぎ3人の方が下山されてきた。
一人の方は三百名山完登をこのカムエクで達成されたという。
前回は雪渓で滑落したというから、改めて今回の条件の良さを感じた。

明日は薄明るくなる4時には出発する。
できるだけ4人で行動し、池さんと私はできれば下山したいとの旨を話し沢の音を聞きながら眠りについた。

池さんに声をかけ4時きっかりに出発
最初巻き道を進むので少し暗さを感じたが、河原に出ると明るく空に雲が見られない。
絶好の山行日和になった。天気を気にしなくて良いのは気分も楽だ。

足下の八ノ沢の河原は大きな石がゴロゴロして歩き難い。
ルートはケルンだけが頼りだが、見失うことが多くルート選択に時間を取られた。
巻き道もブッシュに覆われているところもあり、入って良いものか迷うこともあった。

八ノ沢の登り


三股に着く。
美しい3本の滝が見られた。正面の滝の脇を登り始める。
この登りがカムエクの核心部になる。
急登に加え、ひたすら直登に近い体力勝負だ。
さらに岩場、ブッシュで見えにくい登りもあり精神的にも疲れた。


左滝の右側をほぼ直登で巻いていく


登り切るとご褒美が待っていた。
2時間近く登り詰めると目の前に八ノ沢カールが広がる。
カムエクへの稜線、そして山頂も青空に浮かび上がっていた。
そのぱっと明るく空が開けたときは感激が走った。


急登を登り切るとぱっと八ノ沢カールが目の前に


しかしここが熊出没地帯になる。
この7月29日にはこのカールで熊に襲われけが人が出ている。
福岡大の慰霊碑の近くには、その方のブルーのテントが放置されている。
登山靴、ポールなども置かれたままになり恐怖を醸し出していた。

熊の行動は朝夕が中心で、我々の行動している昼間そして音を出しながらの行動によって熊の姿は見られなかった。一安心だ。

福岡大の慰霊碑と熊に襲われた方のテント


最後の登りになる。カールを大きくカーブを描くように登り切る。
この登山道は今回の登りで一番快適な登りになった。
尾根に出ると日高の山並みがうっすらと雲に隠れるが見られた。

ピラミッド峰が美しい



尾根道はハイ松で歩きにくいところもあったが、
切れ落ちた崖に注意すれば全く問題なく山頂へと近づくことができた。
山頂付近はお花畑で白、黄色の花々が咲き、沢歩きとは全く違う表情を見せてくれた。

カムイエクウチカウシ山1980m山頂と同行者池さん


長い道のりだったが山頂へ。
登れることができるのだろうか、その心配が常にまとわりついていたが
とうとうカムエクの山頂にたどり着くことができた。
それだけに感動し、その満足感が内から湧き出るようだった。
念願叶い、登らせてもらったというカムエクへの感謝も湧いた。
本当にカムエク山頂に、今いるんだという思いを強く持った。

下山は登りよりも注意して下った。
記憶にあるルートをできるだけ歩き七ノ沢出合の堰堤が見えたときは、
大声を出し無事下山してきたことの喜びを爆発させた。
もちろん池さんも最初から最後まで一緒に行動し喜びを分かち合った。
何とか明るい内に札内川ヒュッテへと無事下山することができた。


堰堤が見る七ノ沢出合に着く


今回は天候に恵まれた。
沢の水量も一定で恐怖を感じなかった。
雪渓がない登山道だった。
そしてなんといっても同行者がいたことが大きい。
一人の山行の良さもあるが、カムエクへ心強い同行者 池さんに感謝だ。


ふるちゃん   


Posted by ふるちゃん at 23:30Comments(0)三百名山